話し方・聞き方の法則 Communication Report
会話の第一声を「ソ」の音から始めよう!
会議で偉い方が話しているのを聞いていると、必ずと言っていいほど眠くなりますよね。
全校集会の校長先生の話もそうでした。
話の内容があまり面白くないということもあるのでしょうが、
一番の理由は声にメリハリがないからです。
メリハリがないと、自動音声やロボットがしゃべっているようなベターっとしたしゃべり方になってしまうので、聞き手が飽きて眠くなり、話が伝わらなくなってしまうのです。
聞きとりやすい、美しい声とは…?
日本語は、高い音から始まって低い音で終わる形が、自然で美しいと言われています。
たとえば「おはようございます」は「ソ」から始まって「ド」で終わると、
抑揚ができて聞きやすくなります。
ところが「ド」で始まって「ド」で終わると暗い感じになって、
いい印象を相手に与えることができません。
そこで、声に抑揚をつける練習をしてみましょう。
会話をするとき、最初の1文字を「ソ」の音から始めるのです。
「オレンジジュースをお願いします」なら、最初の“オ”を「ソ」の音で発音するのです。
こうすることで、伝え方に変化が生まれます。
文節を区切って発音するトレーニング
ここで、別のトレーニングも紹介しましょう。
伝えたい文章を紙に書きます。
「今日、私は渋谷のカフェで田中さんに会いました」
と言いたいなら、これを文節で区切って並べます。
「今日」「私は」「渋谷の」「カフェで」「田中さんに」「会いました」
それから、それぞれの文節の最初の音、
「キ」「ワ」「シ」「カ」「タ」「ア」
を、普段の音より高く発音するのです。
少しオーバーに表現するくらいがいいかもしれません。
ちょっと変なトレーニングだと思われるかもしれませんが、
高い音から発声するクセをつけるのは、それなりに効果があるのです。
効果が大きい「聞き取り練習」
この練習は、講座では聞き取り練習とセットで行っています。
2人ずつのペアになって、ひとりが「今日、私は」と言ったときに、もうひとりに「今日」の「キ」と「私は」の「ワ」が高い音から出ているかどうか、聞き分けてもらうのです。
相手の音を聞き取れるようになれば、自分でも高い音を出せるようになるからです。
この練習方法は、ある営業マンの方に試してもらったところ、大きな効果が出たため、
正式にトレーニングメニューに加えたものです。
営業マンのKさんは、とても人柄のいい方でしたが、人前に出ると緊張するせいか、
ぶっきらぼうで淡々としゃべってしまう特徴がありました。
そのため、お客様に偉そうな印象を与えてしまうことも多く、悩んだ末に講座を受講されたのでした。
ところが、「高い音を出しましょう」と言っても、うまくいくのは最初だけ。
すぐにまた低い音に戻ってしまいます。
そこで思いついたのが、文節で区切る方法です。
この方法を試してから、アッという間に普段の言葉にも抑揚が生まれるようになりました。
話の中に音の高低差が出ると、一本調子ではなくなって聞きやすくなるので、
言いたいことが格段に伝わりやすくなります。
Kさんも、練習を始めてからお客様との距離が近くなったと喜んでいらっしゃいました。
終わりに
みなさんも、会議での発言やプレゼン、自己紹介などのときに、
第一声を「ソ」の音から始めるトレーニングをしてみてください。
一度、このクセをつけておくと、自然と高い音が出せるようになります。
同じ自己紹介でも全然違って聞こえますから、録音して聞き比べてみるといいかもしれません。