話し方・聞き方の法則 Communication Report

本番前にじっくり準備をしよう!


「人前で話すとき、緊張して頭が真っ白にならないようにするには、どうすればいいですか?」と質問されることがよくあります。

答えはひとつ。準備を入念にしておくしかありません。

プロであっても人前で話すときは緊張するものです。私自身もアナウンサーになる前に、本番で言うべきことを忘れてしまった苦い経験があります。

「緊張しない」というのは、話し下手な人にとってはかなり難しいことのように思えますが、それでも、ある程度の準備をしておくことで、緊張をゆるめることができます。

 

本番前の3つの準備

主な準備は3つあります。

まず大事なのは、先ほども述べたように、本番の自分を「いつも通りだ」と思えるような心理状態にもっていくことです。

そのために、おすすめしているのは、当日と同じ服を着て練習すること

Tシャツを着てリラックスした状態で話すのと、スーツを着て体が張った状態で話すのとでは、体の感覚や声を出したときの感覚がまったく違います。

ですから、大人数の前で話すことになったら、必ず本番と同じ格好で練習してください。

 

また、本番と同じ「声の大きさ」で練習することも大切です。

話のスピードは、声の大きさによって変わります。

講座の受講生で、「練習では15分で十分収まったのに、本番では最後まで話しきれなかったんです」という方がいました。

原因を探るために、練習と同じように話してもらうと、小声で「今日は〇〇についてお話します」と話していたのです。

大きな声で話すと、当然スピードは遅くなりますから、時間内にすべての話が収まらなくなります。そうなると、本番でかなり焦ってパニックになってしまうでしょう。

焦りはさらなる緊張を生みます。ですから、できるだけ本番と同じ条件で練習することが大事なのです。

 

 

2つめの準備は、本番で動揺してしまう要素をできるだけ減らすこと

もし、本番でマイクを使うことがわかっていて、事前に確認することが可能であれば、マイクを使って話したときの自分の声を聞いておくことをおすすめします。

会場によって音の反響の仕方が違うので、「みなさん、こんにちは」と言ったときの声が予想以上に大きく響くことがあります。

また、そもそも自分の声をマイクを通して聞く機会が少ないので、話し始めた瞬間、自分の声に違和感を覚えることもあるでしょう。

 

 

同じように、「拍手」についても心の準備をしておきましょう。

結婚式のスピーチや、「創立〇周年記念イベント」のような公的な場のスピーチでは、マイクの前に立ってお辞儀をした瞬間に大きな拍手が起こることがあります。

実際に人前に立つとわかるのですが、拍手を聞いた瞬間に「みんなが自分の話を聞こうとしている」「自分に注目している」と感じて、一気にあがってしまい、練習でできていたことでも話せなくなることがあります。ですから、事前に「ここで拍手がくる」と想定して、そのための間を取る練習をしておきましょう。

 

こうした小さなきっかけで動揺すると、頭が真っ白になってしまいます。

しかし、あらかじめ確認しておけば、それだけで安心して本番を迎えることができるのです。

 

最後に重要なのは、成功したときの情景をイメージすること

聞き手が、自分の話を「うんうん」とうれしそうに聞いてくれる。

ちょっとした冗談に、楽しそうに笑ってくれる。

言葉の一つひとつに大きくうなずいてくれる。

「ありがとうございました」と言った後に大きな拍手が起こる。

――こんなふうにイメージトレーニングをしながら話すと、自信がついてきます。

「イメージトレーニング」というと、どうしても自分の姿だけを想像しがちですが、まわりの好意的な反応をイメージするのがポイントです。

自分の話が伝わってみんなが喜んでくれれば、こちらもうれしいですよね。

ですから、この練習はモチベーションアップにもつながるのです。

 

 

本番での真っ白対策

ただ、このように念入りに準備しておいても、本番で頭が真っ白になってしまうこともあると思います。そんなときはどうすればいいのでしょう?

聞き手に質問を投げかけて、その間に思い出すという方法があります。

たとえば、「資料がお手元にない方、いらっしゃいますか?」などと問いかけ、その間に、忘れてしまったことを思い出す。

あるいは、「みなさん、なんだか眠そうですね。では、この辺で伸びをしましょう」と体を動かしてもらい、その間に記憶をたぐり寄せるのも有効でしょう。

 

真っ白対策で一番大事なのは、暗記に頼らないことかもしれません。

頭が真っ白になる人は、たいてい暗記に頼っています。

完全に覚えたという自覚があっても、メモを用意しておきましょう。

たとえ、メモを見ることが許されないような場でも、手元にそれがあるというだけで、安心感が生まれるはず。お守り代わりになるので、メモを携帯した上で本番に臨むようにしてください。

 

 

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