話し方・聞き方の法則 Communication Report
滑舌トレーニングその3~苦手な言葉を分解して噛みグセを直そう!
滑舌が悪いと、人はどうしても言葉を噛んでしまいます。
「噛む」というのは、なめらかに話せなくて、言葉を言い間違えること。
新人のアナウンサーの場合、一度噛むと「どうしよう…」と軽くパニックになって、
リハーサルでは問題なく言えていたことが言えなくなってしまうことがよくあります。
「噛まずにしゃべろう」「今日こそ噛まないぞ」と思っていると、余計言葉を噛んでしまうものです。
気負いすぎて、噛んではいけない場面や話の大事な所(オチ)で失敗することも多くなります。
精神的プレッシャーが影響する
何度も同じ箇所や言葉で噛んでしまうときは、
たいてい過去のミスを思い出して、同じことを繰り返しているのです。
それを避けるには、「人間なのだから仕方ない」と受け入れるしかないでしょう。
「噛むクセを直したい」という理由で講座を受講される方もいらっしゃるのですが、
いつも「仕方ないですよ」とお伝えするようにしています。
ロボットなら、どんな早口でもきちんと発音できるのでしょうが、
人間ですから完璧に話すことなど出来ません。
ベテランのアナウンサーでも、何かの拍子に噛むことがあるのです。
それでも動じないで話し続けられるのは、「そういうものだ」と思っているからでしょう。
そもそも、なぜ噛んでしまうのか?
その原因はいくつか考えられます。
一番の原因:苦手な音につまずいてしまう
サ行が言いづらい、ラ行で失敗するなど、人には苦手な「音」があるのですが、
その音に引っかかってしまって、舌がもつれてしまうのです。
私の場合はサ行が弱く、「作業中」「技術者」「手術中」などの発音が得意ではありません。
そこで、自分で話す内容を決められるときには、原稿の中に苦手な音をできるだけ入れないようにしています。
あまりにも毎回噛んでしまう言葉があるのなら、それを別の言葉に言い換えて、使わないようにするのも一案でしょう。
台本がある場合は、苦手な音を外すわけにはいかないので、「あえいうえおあお」の発声練習に、
自分の苦手な音を組み合わせて練習するようにしています。
これだけでも、かなり音が出しやすくなるものです。
さらに、発音しづらい言葉を徹底的に分析します。
「手術」なら、ひらがなで「しゅじゅつ」と書いて、どこで噛んでいるのかを調べるのです。
私の場合は、最初の「しゅ」は言えているのに「じゅ」から「つ」までの間が言えなくて、
いつも「しゅずつ」になってしまいます。
では、正しく発音するにはどうすればいいのでしょうか。
まず、「しゅじゅつ」をローマ字で表記してみましょう。
書いてみると、「SYU」「JU」「TU」と「う」が3つ続いていることがわかりますね。
そこで、この「う」の口の形をゆっくり何回もトレーニングするのです。
何度も練習して、口の形が完璧に出来るようになれば、噛まなくなります。
2つ目の原因:急いで話すから
これは、いつも噛んでしまう語句の前に一定の間を置くようにすると直ります。
どんな言葉もゆっくりなら言えるはずですから、苦手な語句の前に小さい間をあけるのです。
終わりに
私たちアナウンサーは、仕事ですから噛まずに伝えなければいけません。
でも、一般の方なら、うまく言えなくてもそれでとがめられることはないでしょう。
ですから気にすることはありません。
少しくらい噛んだって、言いたいことが伝わればいい。
そう開き直れば、もっとリラックスして話せるようになるでしょう。
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