話し方・聞き方の法則 Communication Report

スマホの「自撮り」で話し方をチェックしよう!


『自分の声や話し方がすきですか?』

講座を受講された方にこう聞くと、大抵こんな答えが返ってきます。

「自分の声は嫌いです」「うまく話せている自信なんてありません」

この記事を読んでいる皆さんも、似たような思いを抱いているのではないでしょうか。

でも、自分の声が嫌いで、人前で話すことが苦手な人でも、話し方や声を変えることは誰にでも出来ます。

 

ここで、1つ例を挙げてみましょう。

話し方講座には、様々な悩みを持った方がいらっしゃいます。

30代の男性Yさんも、その一人でした。

 

Yさんはとても内気なタイプで、話し方の講座を受けることを何度も迷ったそうです。

初めて講座に参加した日も、教室に入るなりキョロキョロあたりを見回して、

落ち着かない様子でした。

 

「Yさんですか?」とお名前を確認すると、

「えっ、私ですか?ハ、ハイ!」と、まだ講座が始まっていないのにガチガチに緊張しています。

講師とも目を合わせようとせず、席に着いてからも、ハンカチでしきりに額の汗を拭いていました。

 

ファーストステップは「スマホ」を使ったトレーニング

講座では、ファーストステップとして「スマホ」を使ったトレーニングを実施しています。

それぞれの受講生が、自分の話している様子を動画で撮影し、それを見てどう感じるか、感想を述べてもらうのです。

 

一般的な話し方教室では、生徒さんが全員の前でひとりずつ自己紹介をして、

それから2人ずつのペアになって自己紹介し合う…という流れになります。

でも、このやり方についてはずっと疑問に思っていました。

話すのが苦手な人にとって、いきなり大勢の前で自己紹介するのはハードルが高すぎるでしょう。

そこでスマホを使うというアイデアを思いついたのでした。

 

撮影するときに協力してくれる人がいれば理想的ですが、そういうケースは少ないと思います。

誰かに話し相手になってもらうのが、恥ずかしいことだってあるでしょう。

そういうときは、友達や家族など特定の人を想像して話しかけてみてください。

頭に思い浮かべた相手に直接語りかけるようにして、その様子を録画するのです。

 

撮影出来たら、それを見て、気づいたところを挙げていきます。

同じ言葉を何度も繰り返している、声が小さい、自信がなさそう、早口すぎて何を言っているのかわかりづらい…など、おかしなところはすぐにわかります。

 

まず自分の問題点を知り、改善する方法を知る

Yさんも、自分の話し方にかなりショックを受けたようでした。

私が「“この人”を客観的に見て、どう思いますか?」と尋ねると、

「ボソボソと話すから何を言っているのか聞き取りづらいですね。表情も硬いから、不機嫌なのかなと感じます…」と、厳しく感想を語ってくれました。

 

落ち込んでしまうのは、Yさんだけではありません。

実際にやってみると、自分では気づかなかった特徴が目につくので、

誰でも恥ずかしくなるのです。

ただ、このトレーニングの目的は、自分の話し方にショックを受けることではありません。

あくまでも、自分が普段どのように生活しているのか、正しく理解するものです。

 

Yさんは、しばらく落ち込んでいましたが、

「誰でも最初はこんな感じなんですよ。自分のしゃべり方の特徴に気づいただけでも大きな一歩じゃないですか」とアドバイスすると、

「そうですね。気になった部分を意識しながら話してみます!」と別人のような表情で話していました。

 

まず自分の問題点に気づき、改善する方法を知る―。

それだけでも、人は変われるのかもしれません。

 

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