話し方・聞き方の法則 Communication Report
視線の向け方・移し方を身につけよう!
以前、あるテレビ番組の定例会議に参加したときのことです。
その会議から、新しいスタッフの方が参加することになったので、進行役の方が「新しく入った〇〇さんです。自己紹介をしてください」と振ったのです。
その方は、きっと、何も準備していなかったのでしょう。下を向いたまま、「えーと、自己紹介ですか?困ったな。えーと、えーと……」と困り果てた様子。
その後、名前を早口で言って、「よろしくお願いします」で終わってしまいました。
その場にいたのは、これから一緒にお仕事をする人たちです。
ですから、自分のことを知ってもらうためのいい機会なのに、自分からそのチャンスを逃してしまうなんて、もったいないですよね。
せめて、顔だけでも上げていたら、その場にいた人たちの印象は変わっていたでしょう。
「みんなに見られている!」と思うとますます緊張するかもしれません。
でも、そう感じるのは最初だけ。多少の気まずさは我慢して、一瞬でも聞いている人に視線を向けるのは、大事なことです。
視線を向けるときの基本
とはいえ、大勢の前で話すとき、視線をどこに向けたらいいのかは、悩みますよね。
視線は3カ所に向けるのが基本です。
10人くらいが集まる会議などでは、真ん中のAさんを見て、次に右端のBさん、左端のCさんというように、順番に視線を向けます。
聞いている人たち全員を見ようとすると、視線が泳いで自信がなさそうに見えますが、3人(3カ所)だけに視線を定めれば、落ち着いた印象を与えられます。
見る相手を決めておくと、それぞれがうなずいていたり、首を傾げていたりするのがわかるので、話が伝わっているのかどうかを判断する基準にもなるでしょう。
難しいことではないのですが、講座で実際にやっていただくと、みなさん、なかなかうまくいきません。
視線を意識しすぎてしまうのか、話しながら大急ぎで3カ所を見てしまうのです。
これでは、聞いている側が落ち着きません。
せめてひとつの文を話している間は、同じ人を見るようにしましょう。
【場面別】視線の向け方
たとえば、転職した人が、新しい会社で最初にあいさつする場面なら、こうです。
最初は真ん中を見て、「前職では〇〇〇の業務に携わっていました。×××や△△△などの経験があります」まで言い切ります。
次に右を見て、「こちらの会社では、□□□などに挑戦していきたいと思っています」と言う。
そして、最後に左を向きながら「まだわからないことばかりですが、いろいろ教えていただけたら嬉しいです」。
こんなふうに、視線を移していくのです。
結婚式のスピーチや入社式のあいさつなど、もっと大勢の前で話すときも、3カ所を見るという基本は変わりません。
最初は会場の真ん中を見て、次に右、左とブロックで見ていけばいいのです。
ここまでは、原稿などを見ないで自由に話すケースでした。
では、手元にメモを持ちながら話す場合はどうしたらいいのでしょうか。
資料やメモを読みながら話すときも、うつむいたまま話すのはNGです。
視線が落ちないように、メモは持ち上げるようにしましょう。
ただし、あまり上のほうで持つと不自然に見えますから、メモ越しに人の顔が見渡せるくらいの高さがちょうどいいと思います。
スクリーンに投影されたパワーポイントの資料を読む場合も、ずっとスクリーンを見ていると、「ただ、読んでいるだけ」という印象を与えてしまいます。
せめて、最初と最後くらいは客席を見ること。それが難しいようなら、冒頭で「ここからは、一緒に文字を追っていきましょうか」と言ってスクリーンを見るようにすれば、聞き手も一体感を感じてくれるはずです。
終わりに
どんなケースでも、大事なのは、うつむかないこと。
視線を向ける場所さえ最初に固定してしまえば、話しているうちに少しずつ緊張がほぐれていくはずです。
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