話し方・聞き方の法則 Communication Report
ぬいぐるみに語りかけるように話そう!
人前でうまく話すためには、とにかく練習を繰り返すことです。
目の前に聞き手がいると思って、伝える練習をしてみましょう。
とはいえ、見えないものに向かって話したところで、なかなか感情が入らないものです。
私は、こういう練習をするとき、ぬいぐるみや人形を使っていました。
青森放送に在籍していた頃は、「らぶりん」という青森放送のキャラクター、中京テレビ時代には「チュウキョ~くん」というキャラクターを相方にして、それぞれミニ番組を持っていたことがあります。
アナウンサーは、いつもカメラという「機械」に向かってしゃべるので、ついつい冷たく素っ気ない口調になってしまうことがあります。
ところが、不思議なことに、カメラの近くに人形を置くだけで、途端に話し方に人間味が出ます。
男性はぬいぐるみを持っていないでしょうから、写真でもいいでしょう。
たとえば優しくしてもらったおばあちゃんなど、自分が話しかけやすい対象をつくり、それに向かって話しかけてみてください。
ぬいぐるみに話しかけるコツとは…?
ぬいぐるみ相手に話す練習をするときのコツは、子どもに向かって話しかけるように、優しく語りかけること。たとえば、ニュースなどで頻繁に聞く言葉を子どもに語りかけるように、説明してみてください。
「GPSって、なんだか知ってる?日本語では『全地球無線測位システム』って言うんだって。難しい言葉だよね。これは人工衛星を使って、自分が今、どこにいるのかを特定できるしくみのことなんだ。カーナビやスマホにも使われているんだよ」
こんな感じです。
池上彰さんは、以前、NHKの「週刊こどもニュース」という番組で、子どもたちに向かって難しいニュースをわかりやすく解説していました。その手法を真似るのです。
なぜ、この練習が有効なのでしょうか。
子どもに向かってどんなにきちんと説明しても、説明が長いと、理解してもらうことはできません。ですから、自然とセンテンスを短く区切るようになるでしょう。
実は、この工夫が話のわかりやすさにつながるのです。
いわゆる「話し方教室」に行ってもうまくいかなくて、仕方なく私たちの講座にやってくる方がいます。
そういう方を見ていると、自分が話すことだけに集中していて、「人に理解させる」という基本的なことを忘れているように感じます。
だから、メモを棒読みするような話し方になってしまうのでしょう。
1対1であっても、1対多数であっても、こちらの言葉を理解してもらうという前提は変わりません。その前提を忘れないためにも、ぬいぐるみや写真に向かって話しかける練習を試してみてください。