話し方・聞き方の法則 Communication Report
話す速度を「歩いて」表現しよう!
当然ですが、人はそれぞれ話し方が違います。
早口の人もいれば、ゆっくり話す人もいる。硬い口調の人もいれば、柔らかい口調の人もいます。
それぞれが個性だと思うのですが、人前で話すときは、「聞き手がどう思うか」をまず考えなくてはいけません。普段の話し方を変えなくてはならない場合もあるのです。
“早口”に気づく練習方法
人は、緊張すると早口になる傾向があります。普段はゆっくり話す人でも、人前に出るとついつい早口になるものですし、普段から早口の人は、さらに早口になります。
問題は、適正な速度が自分ではわからないこと。
私たちの講座では、この速度をユニークな方法で体感する練習をしています。
みなさんに、ご自分が話しているところを録音してもらい、その話と同じスピードで会場内を「歩いて」もらうのです。
ほとんどの人が、録音されているのを意識して早口になります。そのため、早足で歩くことになるのですが、足を使うことで「こんなに急いで話していたのか」と実感できるのです。
何度か繰り返すと、自分が話す標準的なスピードがわかってくるでしょう。
講座では、みなさんに自分のスピードを理解してもらった上で、
「次は、小学生に話しかけるときのスピードで歩いてみてください」
「では、40歳のビジネスマンが話すときは、どれくらいの速さですか」
というふうに、速度を変えながらトレーニングをしています。
子どもや高齢者に話しかけるときはゆっくりと、それ以外の世代には普通のスピードで。
ただし、仕事の場面なら、スピーディーにテンポよく…。
こうした原則は、たいていの人は理解しているのですが、「理解している」と「できる」の間には大きな差があります。
けれども、話す速度を「歩いて(走って)」表現することで、どのように話せばいいのか、体に刻み込まれるのです。
1対1で話すときは、話すスピードを相手のスピードに合わせましょう。
スピードが合うと、相手は自分と相性が合うなと思って心を開いてくれます。
たとえば、経営者の方は頭の回転が速いので、つい早口になる傾向があります。
ですから、受け答えをする側も、短くポンポンと話さないと、相手はイライラしてしまうかもしれません。
聞き手が話し手に抱く印象は、内容もさることながら、話すスピードによっても大きく左右されるのです。
聞き手の印象に残る“口調”
「口調」も聞き手の印象に残りやすい要素のひとつでしょう。
たとえば、まわりからキツい感じの話し方だと言われる人はいませんか?
性格自体がキツい場合もあるでしょうが、口調が影響していることも少なくありません。
「〇〇すべきですよね?」「おかしいと思いませんか?」のようにキビキビとした口調でたたみかけられると、聞き手は叱られているような気分になります。
講座では、これを解消するようなトレーニングもしています。
飛んできた赤ちゃんを受け止めるようなイメージで、話してもらうのです。
もちろん、実際に赤ちゃんを放り投げるわけにはいきません。
ですから、ぬいぐるみを投げて、それを受け止めてもらいます。その上で抱きかかえながら話してもらうと、「ですっ!」と言い切っていたのが、「ですよね」と柔らかい口調になるのです。
“キャッチボールのジェスチャー”で練習!
また、話し方が平板で、相手の印象に残らない(伝えたことを覚えてもらえない)人は、「キャッチボール」のジェスチャーをしながら話す練習をしてみましょう。
自分が強く主張したいところは、聞き手に向かって思いっきり振りかぶりながら言葉を「投げる」。逆に、柔らかく伝えたいところは、フワッとした動作で言葉を「渡す」。
こんなふうに、実際の動作をつけながら言葉を発すると、話し方にメリハリがつきます。
「ありがとうございます」も、普通に言うだけでは素っ気ない「ありがとうございます」ですが、手のひらですくい上げるような動作をしながら言うと、言葉が優しくなります。
体を動かしながら話すと、話し方をハッキリと変えることができるので、ぜひ試してみてください。